自分が働き貢献する企業は、労働環境の整った優良企業を選びたいですよね。
良い企業の見分け方、入社しない方がいい企業の見極め方について解説します。
優良企業の特徴
そもそも、「優良企業」とはどんな企業なのでしょうか。
財務・離職率・働きやすさの3つの観点から特徴を紹介します。
① 財務が安定している
企業の安定性・成長性を確認しましょう。
財務状況が良い企業は安定しており、今後の成長も見込めるため倒産のリスクは下がります。
施設・設備投資もやりやすくなるため、労働環境にも期待できます。
② 離職率が低い、勤続年数が高い
労働環境を知るためのポイントは離職率にもあります。
離職率が高い企業は長期間働くには何か問題がある可能性があります。
特に女性は、妊娠・出産を理由に職場を離れることも少なくありません。
離職したくない人が離職せずに済むサポート体制などの対策が整備されているかどうかは非常に重要です。
離職率が低い、勤続年数が高い企業が「良い企業」といえます。
③ 社員が働きやすい環境
働きやすい環境とは、企業の特徴のあらゆる条件に現れます。
例えば、以下のような観点は従業員の働きやすさに直結する内容です。
●福利厚生
法で定められた法定福利厚生はもちろんですが、企業が独自に取り入れている福利厚生制度の充実度は「良い企業」の判断材料になります。
詳しくは、関連記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。
●残業時間
長時間労働は、自分のライフスタイルや健康にも影響を与えるため、とても重要です。
一般的には月20時間以内の残業は「少ない」と言われています。
2019年4月から、長時間労働に関する法律が改定され、上限について以前より基準が厳しくなりました。
実際の残業状況はもちろんですが、
勤務時間が正確に把握できるシステムが整っている
残業手当が正当に支払われている
という観点も「良い企業」かどうかの分かれ道となります。
どの程度の長時間労働が法的に問題があるのかについては、長時間労働に悩む企業がすべきこと|企業事例つきで解説しています。
●有給の取得率
有給は、給与が出る休暇を指します。
労働基準法で、下記の条件を満たす従業員に対して「年次有給休暇」が年10日与えられるよう定まっています。
・入社後6ヶ月間継続して勤務している
・全労働日の8割以出勤した
有給はあるものの取得実績がないといった問題があると労働環境が良いとは言えません。
有給取得を社員同士で促し、気持ちよく取得できる環境が整っている企業が「良い企業」といえます。
●研修制度
人材育成のために重要なのが、研修制度です。
従業員のスキルを底上げ・企業の発展に力を入れられる企業は「よい企業」と言えるでしょう。
企業内での認識を統一しながら知識や技術の向上ができます。
・新人、リーダー、研修
・スキルアップ研修
・事業部別研修
新人研修では、ビジネスマナーなどの基本的なことから実際の業務に関するものまで幅が広いです。
さらに近年では、コンプライアンスや、ハラスメントに関する研修や、社員一人ひとりの健康意識向上のために研修を実施する企業も増えています。
●女性が働きやすい
良い企業は、ライフステージが変化しやすい女性も長期で働きやすいための整備をしています。
育休・産休制度、時短勤務やフレックスなどが例として挙げられます。
仕事と家庭の両立がしやすいよう、工夫されている企業は、妊娠出産を経ても同じ企業で活躍していけます。
●コンプライアンス意識が高い
コンプライアンスとは、法定順守・社会的な規範を守るという意味合いです。
企業として、労働基準法、税制、個人情報の取り扱いなどの意識が高い企業は「良い企業」といえます。
従業員の労働環境が整うだけでなく、会社の信頼度を高めることにも繋がります。
優良企業を見分けるポイント
優良企業の特徴は、上記に示したとおりです。
さらに、国が定めた基準を満たした企業だけが得られる「認定制度」もあります。
自社ではなく第三者機関から認定しているため、信頼性が高く、優良企業を見分けるポイントとなります。
5つの認定制度を紹介します。
安全衛生優良企業認定(ホワイトマーク)
認定機関 | 厚生労働省 |
認定対象 | 全ての業種の企業 (会社法に定められる法人、協同組合、個人商店も含まれます。 ) |
制度概要 | 労働者の安全・健康に積極的に取り組み、安全衛生において高い水準を維持している企業を認定する制度 |
2022年6月現在、38の企業が認定を受けています。
認定のための基準には以下のようなものがあります。
過去3年間、労働安全衛生関連の重大な違反がない
労働者の健康維持増進対策・メンタルヘルス対策・過重労働防止対策・安全管理など
ユースエール認定
認定機関 | 厚生労働省 |
認定対象 | 中小企業(常時雇用する労働者が300人以下の事業主) |
制度概要 | 若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な企業を認定する制度 |
2022年6月現在、779社が認定を受けています。
若者雇用促進法に基づき、若者の採用や人材育成状況、離職状況などを含めた12項目を満たす必要があります。
参考:
SHEM 非営利一般社団法人 安全衛生優良企業マーク推進機構
健康経営優良法人認定
認定機関 | 経済産業省 |
認定対象 | 法人 (規模により大規模・中小規模にわかれている) |
制度概要 | 地域の健康課題に沿った取り組みや、日本健康会議が進める健康増進のための取り組みをもとに優良な健康経営を実施している法人を認定する制度 |
毎年認定があり、2022年では大規模部門んが2299法人、中小規模は12255法人が認定されました。
①経営理念、②組織体制、③制度・施策実行、④評価・改善、⑤法定遵守・リスクマネジメントの5つの大項目の要件に関して、一定の基準を満たすと認定されます。
法人の規模によって基準が異なるのも特徴です。
さらに認定された企業のうち上位500法人には、「ホワイト500」「ブライト500」の称号が与えられます。
健康経営優良法人について、詳しくは別の記事で解説しています。
えるぼし認定・プラチナえるぼし認定
認定機関 | 厚生労働省 |
認定対象 | 全ての業種の企業 |
制度概要 | 女性の活躍推進のための取り組み状況が優良な企業を認定する制度 |
2022年6月時点において、えるぼし認定企業は1180社です。
2016年に施行された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づいて誕生した制度です。
「採用」「継続就業」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」の5つの評価項目を満たす必要があります。
認定は、星一つ、星二つ、星三つの3段階にわかれてどの段階のえるぼし認定になるかが決まります。
さらに高水準の企業は、「プラチナえるぼし認定」されます。
参考:女性活躍推進企業認定「えるぼし・プラチナえるぼし認定」 厚生労働省
くるみん認定・プラチナくるみん認定
認定機関 | 厚生労働省 |
認定対象 | 全ての業種の企業 |
制度概要 | 仕事と子育ての料理す支援に取り組んでいる企業を認定する制度 |
2022年6月時点において、くるみん認定は3470社、プラチナくるみん認定が407社です。
次世代育成支援対策推進法に基づいて誕生した制度です。
認定のためには、「一定水準以上の育児休業取得」「育児に伴う時短制度の導入」などの計10項目を満たす必要があります。
10項目を満たした企業の中でもとくに高い基準を満たすと「プラチナくるみん」認定を受けることができます。
参考:くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて 厚生労働省
入社しない方がいい企業の特徴
良い企業の特徴や見分けるための認定制度については既述した通りです。
では逆に、入社しない方がいい企業のの特徴も抑えておきましょう。
給与が低すぎる・高すぎる月給や年俸制
最低賃金を下回るような「違法」な求人や、同業種と比較して極端に給与が高い求人は注意しましょう。
極端な高給与については、厳しい条件で労働して達成されたイレギュラーな例の1つかもしれません。
結果的に残業が多い、高圧的、仕事量が多すぎるなど、労働環境が厳しい恐れがあるので、注意が必要です。
「年俸制」等、基本給の記載がないもの、労働日数、労働時間、有給取得取得状況、手当など、細かく内訳を確認しましょう。
「みなし残業」「固定残業」等の残業システム
「みなし残業」「固定残業」という求人は、企業があらかじめ残業を見越して給与に残業代も含まれている求人です。
残業時間が曖昧になっており、長時間労働が日常化している危険があります。
残業が発生することがほぼ明確であるだけでなく、固定残業代分を超えた場合の残業代の対応についても確認をしておきましょう。
残業のシステムについては把握することが必要です。
過度な募集人数
業務の大幅拡充で、募集人数が一時的に多くなっている企業は問題ありません。
しかし理由が明確でないのに、なぜか募集人数が大量になっている企業は一斉退職のようなケースが潜んでいる可能性があります。
どんな目的で求人を出しているのかも把握できると安心です。
まとめ
良い企業とは、「従業員が働きやすい環境が整っている」企業のことを指します。
求人に違和感や過度な条件がある場合は注意が必要です。
国が定める様々な認定制度への登録企業の場合は、国から太鼓判を押してもらったことになります。
認定マークにも注目してよい企業を探していきましょう。
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