働き方改革や新型コロナウイルス感染症の影響で、働く場所の選択肢が増えてきています。
テレワークに続いて増えてきている、「ハイブリッドワーク」について紹介します。
ハイブリッドワークとは
ハイブリットワークとは、働く場所を1つに限定せず、複数を組み合わせるワークスタイルのことです。
オフィスワーク以外には、テレワーク、シェアオフィスやコワーキングスペースなどのワークスタイルが挙げられます。
このように場所を「職場」に限定しない多様な働き方が広まりつつあるには理由があります。
テレワークの実際・課題
働き方改革の一環として認知されていたテレワークですが、新型コロナウイルスの流行やに伴い、テレワークの実施率は倍以上に増えました。
しかし、新型コロナウイルスの感染状況によってテレワークの実施率は大きく変動があります。
総務省がおこなった、テレワーク実施にあたっての課題や障害についてのて行った調査によると、
テレワークの課題や障壁として挙げられたのは、
・テレワークに適した仕事ではない(36.3%)
・勤務先にテレワークできる制度がない(27.9%)
・会社に行かないと資料が利用できない(22.8%)
・会社でしかできない手続き(19.4%)
・社員同士のコミュニケーション(17.8%)
などでした。※1
そもそも仕事内容がテレワークに適していないケースや、会社でしかできない仕事など、仕事の内容や制度により実施できないという結果が上位でした。
テレワークのみのワークスタイルを確立するには、仕事のやり方や制度を整える必要があるのが実状です。
完全テレワークへ移行しない企業が多い要因となっています。
ハイブリッドワークのメリット3選
ハイブリッドワークは、働く環境の選択肢が増える点が、今までのオフィスワーク、テレワークと異なります。
結果として、得られるメリットは大きく3点。
1つずつチェックしていきましょう。
最適な環境で生産性向上
ハイブリッドワークが導入されると、従業員がそれぞれの業務などに合わせて働く環境を選択することができます。
一人で作業した方が効率がよい、対面でおこなったほうが活発な意見交換ができるなど、内容によっても最適な環境は異なります。
業務環境を選べることで、満足度が向上するだけでなく、業務の生産性を高めてくれるでしょう。
働き方の選択肢が増え、離職率低下
ワークライフのバランスの調整ができることも大きなメリットになります。
企業から自宅までの物理的距離や育児・介護など、今までは離職せざるを得なかった優秀な社員の離職が減り、長期に働ける人が増えるようになります。
環境整備が進められるのは企業にとっても、従業員にとってもメリットが大きいと考えられます。
オフィスのコスト削減、環境の最適化が進む
ハイブリッドワークで一定人数がテレワークとなれば、出社する人員は減ることになります。
さらにコスト面に関しては、光熱費や備品の負担が軽減されるでしょう。
削減されたコストは、オフィスの最な環境づくりに投資できるようになります。
環境を整えることは、より従業員の満足度お上げることにも繋がります。
ハイブリッドワークのデメリット
社内での働き方に留まらないハイブリッドワークではやはりデメリットも存在します。
環境を整えることでデメリットを軽減することもできますが、削減コストと導入コストのバランスの見極めも必要となります。
デメリットを確認していきましょう。
コミュニケーション量が低下する
社内で顔を合わせたコミュニケーションが取れなくなります。
意思疎通の手段が限られるようになり、最悪の場合業務に支障が出るミスに繋がります。
ミーティングを頻繁に開催して情報共有する、メールやチャットツールで情報共有をするといった環境整備が必須となります。
長時間労働が可視化されにくい
社外での環境で仕事をする場合の、勤怠状況の管理にも配慮する必要があります。
自宅でも仕事ができるという理由で、気づけば長時間労働になってしまう恐れもあります。
長時間労働が慢性化すると、疲労が蓄積され病に繋がることもあります。
勤怠管理ツールなどを導入するなど、整備が不可欠です。
情報漏洩のリスクが上がる
重要な情報は社外への持ち出しを禁止し、環境の整備が柔軟におこなえるのがハイブリッドワークの良さでもあります。
しかし、セキュリティ対策が万全のオフィスワークと比較すると、社外へ持ち出して仕事をすることは情報漏洩のリスクは高まります。
実際にテレワークの普及後、電子メールを媒体とした感染を広げるマルウェアによる被害相談件数が倍以上に増えています。※2
企業側の対策は避けられません。
参考:※2 最近のサイバー攻撃の状況を踏まえた経営者への注意喚起 経済産業省
ハイブリッドワーク導入のためのポイント
ハイブリッドワークを導入するにあたって重要なのは、環境整備です。
最低限整えておくべきポイントを紹介します。
①従業員がどこで仕事をしているのかを把握する仕組みづくり
②コミュニケーションが滞らないようITツールの導入をする
③交通費申請ルールを改定する
④仕事の評価の仕方を明確にする
それぞれ具体的に説明します。
従業員がどこで仕事をしているのかを把握する仕組みづくり
仕事の場所の自由化が進むと、誰が出社していて、誰が社外で仕事をしているのかが把握しづらくなります。
急な打ち合わせ・問い合わせなどが出た場合に、円滑に進めなくなるデメリットが生じます。
「入退室管理システム」の導入がおすすめです。
誰がどこで作業をしているのかを把握できるようにする仕組み作りができます。
一般的には、月額5000円~のものが多いようです。
ITツールを一部紹介します。(順不同)
※★は中小規模の企業でも取り入れやすいシステムです。
★Akerun入退室管理システム(株式会社Photosynth様)
★ALLIGATE(アリゲイト) (株式会社アート様)
★bitlock PRO(株式会社ビットキー様)
★KEYVOX(ブロックチェーンロック株式会社様)
★カギカン(Qrio株式会社様)
☆SecureFrontia X(NECプラットフォームズ株式会社様)
☆SECURE AI Office Base(株式会社セキュア様)
☆SPLATS(株式会社クマヒラ様)
☆PicoA(美和ロック株式会社様)
☆Webvisor 入退室管理システム(株式会社日立システムズ様)
コミュニケーションが滞らないようITツールの導入をする
ハイブリッドワークの『コミュニケーション』対策の整備もポイントとなります。
社内・外にいるどの従業員も情報格差が起きないよう、コミュニケーションはオンラインを活用して行うことを標準としておくとよいでしょう。
zoom、skypeといったビデオミーティングが可能なツール
チャットワーク、LINEなどのメッセージツール
slacks、discordといったトピックスごとにメーセージの整理がしやすいツール
などがあります。
交通費申請ルールを改定する
仕事の場所の自由化がすすむと、交通費の管理は見直す必要があります。
人によって出社日数が異なると、経理作業者の負担が増えかねません。
申請の仕方や交通費の上限ルール設定を行いましょう。
仕事の評価の仕方を明確にする
社外で仕事をする従業員が増えると、仕事の進捗状況や、成果が見えづらくなります。
企業の生産性や従業員のモチベーションにも大きく影響するため、目標やタスクを共有する、評価項目を成果・能力に分けて明確にするなどの対策を行いましょう。
まとめ
仕事環境をテレワークのみにすることは、企業の環境や仕事内容などからも難しいのが実状です。
しかし、ハイブリッドワークのように働く場所を企業に限らず自由にすることで、生産性を上げられる、離職を防げる可能性を秘めています。
ハイブリッドワークを行うためにはITツールなどもうまく活用しながら環境の整備を行ってみてはいかがでしょうか。