睡眠パターンと糖尿病の意外な関係

睡眠パターンと糖尿病の意外な関係

早寝早起き、遅寝遅起き。

多くの人は日常的に睡眠パターンが決まっているのではないでしょうか。

この睡眠パターンと糖尿病についての報告は多く、関係性があることが分かっています。

そのうちのいくつかをご紹介します。

夜型の生活習慣サイクルは糖尿病リスクを上げる

夜型生活

まずは、韓国高麗大学校の研究者らが発表した報告です。※1

韓国ゲノム疫学研究というコホート研究の参加者1620名(47歳~59歳)を対象にアンケート調査、血液検査を実施。

DEXAというX線機器で脂肪と筋肉の割合や、CTスキャンを用いて腹部脂肪量の測定も行っています。

アンケートの結果、参加者のうち480名(29.6%)は典型的な朝型人間、95名(5.9%)は典型的な夜型人間、残りの64.5%は、その中間タイプの就寝起床サイクルをもっていたという結果です。

これらのデータ解析の結果、夜型の人は朝型の人に比べて、年齢が若く、体脂肪と中性脂肪の値が高めの傾向

糖尿病のリスクは73%高く、メタボリックシンドローム症候群のリスクも74%高い結果です。

併せて、加齢に伴って筋肉が減少する現象を表わす「サルコペニア」のリスクも3倍ほど高い結果あることがわかりました。

研究チームは、体内時計リズムが代謝に重要な意味があると結論づけています。※1

※1 夜型人間は糖尿病リスクが高まる!

夜型の糖尿病患者は日中運動量が少ない

ソファでくつろぐ

2型糖尿病に罹患した人の睡眠パターンに関する調査を紹介します。※2

米国レスター大学と南オーストラリア大学が実施した研究で、2型糖尿病患者の睡眠タイプ(クロノタイプ)が就寝時間や生活スタイルに及ぼす影響を調査したものです。

研究成果は「BMJ Open Diabetes Research&Care」に発表されています。

睡眠タイプ(クロノタイプ)とは、朝型、夜型など人がもつ体質のことで、遺伝子要素が50%、残りは年齢や外的要因で決まると言われています

それでは調査の内容をみてみましょう。

2型糖尿病患者635人を対象に行った調査です。

活動量計を7日間装着し、睡眠・休息を含めた身体活動量の内容、強度や時間測定を実施。

参加者のうち25%は朝型のクロノタイプであり、平均就寝時間は22時52分、起床時間も早い傾向。

23%は夜型のクロノタイプであ、平均就寝時間は0時36分、起床時間も遅いという結果です。

のこり52%はどちらにも当てはまらないという結果です。

夜型クロノタイプの2型糖尿病患者は日中座ったまま過ごすことが多く、身体活動量が少なく強度も低い生活習慣でした。

朝型の人に比べ、運動量は56%少ないことも示されています。

前述した通り、クロノタイプは遺伝子要素が50%、残りは年齢や外的要因で決まるため、「変えることができる」ところが重要なポイントだと言われています。

就寝時間を調整して朝型生活に変えていくことは2型糖尿病患者にとっても良い効果が期待できると考えられています。

座わりっぱなしのリスクについては別の視点から見ても健康被害のリスクがあることがわかっています。

詳しくは座りすぎに潜む健康リスクをご覧ください。

※2「早寝・早起き」は糖尿病の人にも良い 生活が夜型だと運動量が減る 糖尿病ネットワーク

まとめ

朝型生活

糖尿病と睡眠パターンには罹患前・罹患後ともに関連性が示された研究が存在しています。

睡眠パターンは遺伝的要素も含まれてはいるものの、50%は外的要因や年齢などの要素も存在します。

睡眠時間を朝型生活に移行して糖尿病リスクを下げていきましょう。

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