【管理栄養士監修】大豆ミートが栄養面で大注目なワケ

【管理栄養士監修】大豆ミートが栄養面で大注目なワケ

スーパーや飲食店で「大豆ミート」商品を目にしたことはありませんか。

環境面でも注目を浴びていますが、もちろん健康面でも大注目されています。

大豆ミートが健康面で大注目されている秘密をご紹介します。

 

大豆ミートとは

大豆ミート

大豆ミートとは大豆や大豆加工品(豆腐、湯葉、大豆粉、脱脂大豆など)をお肉のような食間や風味のように加工された植物性食品を指します。

大豆から油脂を取り出し、残ったたんぱく質を加工することで肉っぽい繊維感が出てきます。

牛・豚・鶏といった家畜肉の代用食品である代替肉の一種です。

「ソイミート」「ベジミート」と呼ばれることもあります。

原材料や大豆たんぱく質含有率によって大豆ミート食品と調整大豆ミート食品2種類の規格※1に分かれています。

大豆ミート食品 調整大豆ミート食品
原材料 アミノ酸スコア(★1)が100である大豆ミート原材料を使用する。

1次原材料から3次原材料に動物性原材料を使用した加工品を使用してはならない。

1次原材料から3次原材料に動物性原材料をを使用してはならない(卵と乳は除く)

動物性原材料(卵と乳を除く)の加工品を使用してはならない。(調味料は使用可)

大豆たんぱく質含有率 10%以上 1%以上

★1アミノ酸スコア 食事からしか取れず体内合成できない必須アミノ酸9種類が、人間の身体に望ましい量に対してどれくらいの割合で含まれているかを示す指標

 

参考

※1 日本農林規格 大豆ミート食品類

 

大豆ミートの種類

大豆ミートの形状

大豆ミート商品はよりお肉っぽい形のブロックタイプや、ひき肉のようなミンチタイプなど形状も様々です。

湯戻ししてから使用する感想タイプが一般的ですが、中には戻し不要なものもあり料理シーンによって使い分けしやすいよう商品の種類も豊富です。

 

大豆ミートが栄養面で注目されている理由

大豆

大豆ミートが栄養面から注目されている理由を紹介します。

①大豆ミートは低脂質

大豆ミートと肉の大きな違いの1つは低脂質であるところです。

各肉類と100gあたりの栄養価を比較してみましょう。

肉類の中で比較的脂質量の多いひき肉と、比較的脂質の少なめなもも肉を比較対象としています。

エネルギー量(kcal) 脂質(g) 飽和脂肪酸(g) 多価不飽和脂肪酸(g)
大豆ミート※ 106 1.0 0.13 0.39
牛ひき肉 251 21.1 7.25 0.63
牛もも肉(脂身あり) 148 8.6 3.22 0.25
豚ひき肉 209 17.2 6.24 1.62
豚もも肉(脂身あり) 171 10.2 3.59 1.24
鶏ひき肉 171 12.0 3.28 1.90
鶏もも肉(皮つき) 190 14.2 4.37 1.85

※大豆ミート(乾燥品)を戻したもの(粒状大豆たんぱく質にて計算、3倍に戻すと仮定し算出)

 

大豆ミートは製造工程で油脂を除いているため脂質の含有量が低く、低カロリーな食品であることがわかります。

体重コントロールをしたい人にはもちろんおすすめです。

脂質の含有量が低いことのメリットは低カロリーだけではありません。

動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸の摂取も控えられることも多きなメリットです。

飽和脂肪酸の摂取過多は血液中のLDLコレステロールが増えることも分かっており、長期的にみれば動脈硬化進行のリスクがあります。

動脈硬化性疾患ガイドライン2022年度版においても、「適正な総エネルギー摂取量のもとで飽和脂肪酸を減らすこと、または飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に置換することは血清脂質の改善に有効」と記載されています。※2

ある研究によると飽和脂肪酸の摂取過多は、仕事のパフォーマンスにも影響すると懸念されており、短期的なメリットも期待できます。※3

 

参考

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

※2動脈硬化性疾患ガイドライン2022年版

※3 サン・クロレラ研究サイト 集中力は、飽和脂肪の多い一回の食事で低下

 

②大豆ミートはコレステロールが含まれない

コレステロールは脳や肝臓、神経組織などに多く含まれるなど身体を構成するだけでなく、性ホルモンの材料にもなっており、生きていくためには必要不可欠です。

そのため動物性食品には含まれている栄養素です。

しかし過剰な摂取は血液循環に悪影響を与えることが分かっています。

材料が大豆である大豆ミートにはもともとコレステロールが含まれていません。

それどころか、大豆たんぱく質が血中コレステロールを下げる効果があるとも言われています。

 

③大豆ミートは高たんぱく質

大豆ミート良質なたんぱく質が多く含まれています。

動物性たんぱく質である肉類と100gあたりのタンパク質含有量を比較してみましょう。

肉類の中で比較的たんぱく質含有量の少ないひき肉と、比較的たんぱく質含有量が多めなもも肉を比較対象としています。

たんぱく質量(g)
大豆ミート 15.4
牛ひき肉 17.1
牛もも肉 19.6
豚ひき肉 17.7
豚もも肉 20.5
鶏ひき肉 17.5
鶏もも肉 16.6
木綿豆腐 7.0
納豆 16.5

※大豆ミート(乾燥品)を戻したもの(粒状大豆たんぱく質にて計算、3倍に戻すと仮定し算出)

 

動物性タンパク質と比較するとよりたんぱく質含有量が少ないと感じるかもしれません。

しかし同じ大豆の加工製品と比較すると、どうでしょうか。

木綿豆腐なら200g程度と同等のたんぱく質量、納豆は1Pあたり40g前後の製品が多いので、2.5P分と同等のたんぱく質量になります。

一般的には大豆加工品からたんぱく質を摂取しようとすると沢山食べないと肉類と同等のたんぱく質を摂るのは難しいといえます。

それに比べて、大豆ミートはたんぱく質量を確保しやすいといえます。

植物性たんぱく質を豊富に摂ることが健康に好影響を与えると結論づけられている研究は多くあります。

動物性たんぱく質と植物性たんぱく質のバランスが重要とする研究もあるため、植物性たんぱく質の摂取頻度が1日1回以下の場合は1食を動物性たんぱく質の肉でなく大豆ミートを活用してみてはいかがでしょうか。※4

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参考

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

※4 Eating protein from a greater variety of sources may lower risk of high blood pressure (米国心臓学会 2022年3月10日)

 

④大豆ミートは食物繊維が摂れる

大豆ミートは大豆由来の食物繊維が摂取できます。

動物性たんぱく質源の肉などから食物繊維を摂ることはできないため、大豆ミートの特徴といえます。

食物繊維は整腸作用をはじめ、血糖値上昇の抑制効果、血液中のコレステロールの濃度の低下など健康維持に欠かせない栄養素の1つです。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では、女性18 g以上、男性21 g以上(ともに18~64歳の場合)を食物繊維の1日の摂取目標量として定められていますが「平成29年国民健康・栄養調査」※5によれば、男女問わず全ての年代で不足しているという結果が出ています。

特に肉食に偏った食生活を送っている人や野菜の摂取不足の人にとっては大豆ミートを肉の代わりとして使用すると食物繊維の摂取を増やすことができるようになります。

大豆ミート(乾燥)100gあたりで17.8g(水溶性食物繊維5.9g、不要性食物繊維11.9g)摂取できます。

この数値は乾燥した状態での量なので、乾燥状態の大豆ミートを20g程度使用しようとすると1食あたり3.6gの摂取が見込めます。

食物繊維が多いごぼうだと約1/2本(70g)程度、ブロッコリー1口大サイズ4個程度(70g)と同等量です。

 

参考

厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)

※5 厚生労働省 平成29年 国民健康・栄養調査

 

⑤大豆ミートは大豆イソフラボンが摂れる

大豆特有の成分といえば、「大豆イソフラボン」です。

大豆ミートには大豆イソフラボンも含まれています。

大豆イソフラボンは女性ホルモンと同じような働きをすることがわかっています。

コレステロール上昇抑制、骨粗しょう症予防、抗酸化作用、更年期障害に伴う症状の予防改善の効果が見込めます。

女性にとって嬉しい効果が大きいといえます。

 

まとめ

大豆

大豆ミートは植物性食品である大豆を原料として、良質なたんぱく質摂取源食品といえます。

動物性たんぱく質である肉類をはじめ、たんぱく質源である卵、乳製品などが苦手でたんぱく質が不足しがちな方や、動物性たんぱく質の摂取に偏っている方は食事に取り入れることデメリットを感じやすいでしょう。

 

 

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