企業で従業員の健康へ取り組みすることで、結果的に生産性を上げる経営戦略は「健康経営」として徐々に広まってきています。
従業員の朝食欠食率については調査していらっしゃいますか。
厚生労働省が発表した平成29年国民健康・栄養調査によると、朝食を食べない人の割合は男性 15.0%、女性 10.2%です。
年齢階級別にみると、男女ともにその割合は 20 歳代で最も高く、それぞれ男性 30.6%、女性 23.6%です。
企業の中にも1~2割程度は朝食を食べない人がいる可能性があります。
朝食を食べないことは疾病リスクとの関連がわかってきており、従業員の方が長く健康で働けるためにも、正しい情報を理解するところから始めることが重要です。
今回は、朝食を食べない習慣と疾病リスクについて、国内外の研究結果を紹介します。
朝食を食べない習慣は、動脈硬化リスクが約2倍
米国心臓病学会誌「Journal of the American College of Cardiology」に発表された研究です。
「朝食を食べない派」は「朝食重視派」に比べ、頸動脈で21%、腹部大動脈で17%、それぞれ動脈硬化が進行していることが明らかになりました。
さらに朝食を食べない人の非冠動脈性動脈硬化症のリスクが1.55倍に、全身性動脈硬化症のリスクが2.57倍であることが報告されています。※2
この研究では、朝食を食べない人の習慣として、
- 食事時間が不規則になりがち
- アルコール摂取量が多い
- 喫煙
など朝食習慣以外にも不健康な習慣がある傾向にもあったことが報告されています。
上記の研究から、
朝食を食べないことで空腹感が強くなり、食事量が増える、間食が増えることで不規則な食事時間になってしまうことが予測できます。
アルコール摂取が多く、寝るまで飲んでしまう場合は、睡眠の質が下がり、寝起きが悪くなる、胃もたれなどの状態が朝食を食べられない原因になってしまう可能性も高いでしょう。
※2 Skipping Breakfast Associated with Hardening of the Arteries(米国心臓病学会 2017年10月2日)
朝食を食べない習慣は全死亡リスクが1.3倍以上
続いては、朝食を食べない習慣と脂肪リスクに関する国内の研究を紹介します。
鳥取大学の横山弥枝氏らの研究は、朝食を食べない習慣と死亡率の関係についての調査です。※3
日本人の生活習慣とがんの関連を明らかにする目的で行われた追跡調査です。
調査の結果は以下の通りです。
・中央値19.4年の追跡期間中に、がんで死亡した人は5,768人、循環器疾患で死亡した人は5,133人、すべての原因により死亡したのは1万7,112人であった。
・朝食を食べない群は、不健康な生活習慣に関連していた。
・朝食を食べない群は、朝食を食べる群に比べ、男性の循環器疾患による死亡リスク(ハザード比[HR]:1.42)と全死亡リスク(HR:1.43)、女性の全死亡リスク(同:1.34)が有意に上昇した。
『朝食を食べない群は、不健康な生活習慣に関連していた』という調査結果は、先ほど紹介した海外の研究結果と共通しています。
動脈硬化の先にある循環器疾患での死亡リスクも高くなることがわかり、われわれ日本人にとっても朝食を食べない習慣が疾病リスクを上げることに繋がることがわかったと言えます。
※3 Yokoyama Y.et al.Yonago Acta Med.2016;59;55-60.Epub 2016 Apr 1.
従業員の健康増進にむけて
企業で従業員の健康へ取り組みすることで、結果的に生産性を上げる経営戦略は「健康経営」として徐々に広まってきています。
朝食を食べない習慣を疎かにしてしまった結果は、動脈硬化の進行や、死亡リスクを高める結果となることが分かってきています。
朝食を食べない習慣を変えるためには、従業員の方々にもリスクを知ってもらうことが重要になってきており、健康経営セミナーなどで情報提供していくことがおすすめです。
株式会社Lanlanでは管理栄養士による健康経営コンサルティングを実施しております。