血糖値のコントロールは健康維持にとても重要です。
糖尿病になると治療のための通院費や時間も必要になるため、プライベートな時間も貴重になるビジネスパーソンにとって予防には関心を高めたいところです。
そんなビジネスパーソンの健康を守るために、従業員の健康促進に取り組むことがが企業にとって重要なテーマになっており、「健康経営」として広まっています。
従業員の健康増進のためには、関心を高めてもらうことや日常から取り入れられることを発信していくことが重要になっています。
今回は、血糖コントロールを良好に保つための効果的な運動について紹介します。
血糖コントロールがなぜ重要なのか
血糖値は、1日の中でも食事をするたびに変動します。
一般的には食後2時間程度で上がった血糖値が元に戻ってきますが、インスリンの働きが悪いと食後に急激に高くなったり、常に高血糖の状態が続くことになります。
インスリン分泌が低下したりインスリンの効きが悪くなる原因には、食事や運動などの生活習慣も深く関連しています。
高血糖状態が続くと、血管が傷つきやすく、血管の傷が原因となって血管壁が厚くなっていく動脈硬化が進行してしまいます。
動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞の引き金にもなるため、急激に血糖値を上げないよう血糖コントロールが正常にできる状態を維持することが非常に重要です。
血糖コントロールにとって効果的な運動タイミング
血糖コントロールの良好に保つために食事と運動が重要です。
運動については、いつ・どんな運動をどれだけやれば効果が見込めるのかは気になるところですね。
とある研究によると、運動は、毎食前「短時間高強度」で実施することで食後高血糖が改善され、1日を通して平均12%血糖値が低下できるそうです。※1
ここで言われる短時間高強度とは、全力疾走程度の運動を1分間×6セットが目安になっています。
運動には20~30分程度もの長時間が必要だと思っている忙しい人にとっては短時間の実施でも効果が見込めることはうれしいニュースではないでしょうか。
肥満のある2型糖尿病患者を対象におこなったアメリカのミズリー大学の研究によると、
レジスタンス運動(身体に負荷をかける筋肉トレーニング)を食前に行った場合は、まったく運動しなかったときに比べて、食後の血糖値上昇は18%減、
食後に行った場合は、まったく運動しなかった時と比べて、食後血糖値の上昇は30%減であり、食後の運動のほうが効果が高いという結果となりました。※2
食前や食後の運動が食後高血コントロールのポイントになりそうであることがわかります。
※2 運動を行う時間は食後がベスト 血糖値と中性脂肪値が低下
健康経営で生産性を上げるために
健康な従業員が働きやすい企業は、体調不良が原因による欠勤や離職が減少し生産性を下げない企業に繋がります。
従業員一人一人が健康でいられることは人生を豊かにすることに繋がりますが、企業にとってもメリットといえます。
そのためには、企業において、健康維持増進に関する正しい情報提供をして関心を高めていくことも重要になっていくことでしょう。
株式会社Lanlanでは管理栄養士による健康経営コンサルティングを実施しております。
運動は長時間続ける方が効果的、と思っている方もいるかもしれませんが、運動強度によっては、短時間を複数回に分けて実施する方が食後高血糖を改善できるという研究結果もあります。
これは、ニュージーランドの研究チームが発表した内容で肥満者を対象に行った研究で明らかになりました。※1
- 1日1回30分間の中強度(最大心拍数の60%)の坂道ウォーキング30分
- 朝食・昼食・夕食前に1分×6セットの高強度(最大心拍数90%)の坂道ウォーキング
(最大心拍数60%の運動とは、「ちょっとキツイと感じる」程度、最大心拍数90%は全力疾走程度が該当のイメージです。)
①②は消費エネルギー量は同じものの運動強度、1回の継続時間が異なります。
①は血糖コントロールの改善が見られなかったものの、②は朝食後の食後血糖値の上昇が運動しない場合と比較して17%低下しました。
さらに、夕食後の血糖値は①の運動をした人よりも13%血糖値が低い結果でした。
1日を通して平均12%の血糖値低下は運動翌日にも若干の効果がみられました。
食前に運動をする場合は、1日3回に分けて強度の高い運動のほうが血糖コントロールに良い影響を与えてくれることが期待できると言えるでしょう。hy
運動するなら食前と食後どちらが効果的?
先ほどは、運動強度や時間に関する研究ないようでしたが、運動のタイミングに関する研究もあります。
食前と食後、どちらの方が血糖値にとって良好なのでしょうか。
肥満のある2型糖尿病患者を対象におこなったアメリカのミズリー大学の研究によると、
レジスタンス運動(身体に負荷をかける筋肉トレーニング)を食前に行った場合は、まったく運動しなかったときに比べて、食後の血糖値上昇は18%減、
食後に行った場合は、まったく運動しなかった時と比べて、食後血糖値の上昇は30%減であり、食後の運動のほうが効果が高かったことがわかりました。
さらに食後に運動した場合は、血糖値のみならず、食後の中性脂肪値も抑えることが明らかになりました。※2
食後の血糖値や中性脂肪値が上昇することは心血管疾患のリスクになることがわかっており、それを食後の運動で抑えられる期待が高いといえます。
まとめ
食後高血糖は、心疾患リスクにつながる危険な状態です。
予防や治療で運動を頑張っても結果が出ないとモチベーションも低下し継続もできなくなってしまいます。
運動強度、持続時間、タイミングなどを工夫し効果的な運動で健康維持に励んでいきましょう。