働き方改革や、コロナの情勢から広まってきた「在宅勤務(テレワーク)」という選択肢。
しかし在宅勤務によってうつ症状を発症する人が急増しているため、テレワークを導入している企業や人は対策が必要です。
今回は、「テレワークうつ」の原因や対策について紹介します。
テレワークうつの症状
テレワークうつの症状は「心身の不調」、その内容は人により様々ですが、
●抑うつ
●不安
●睡眠障害
●頭痛
●肩こり
●眼精疲労
●下痢
●腹痛
●食欲不振
などなど様々です。
これらの心身の不調は「適応障害」の状態で、うつ病の発症までには至っていないと言われています。
しかしこれを放置してしまうと、本格的なうつ病を発症してしまう恐れもあり見過ごすことは危険です。
在宅勤務に潜むテレワークうつの原因
テレワークうつの原因として深刻な原因は、以下の3つです。
●運動不足
●対面コミュニケーション不足
●生活リズムの崩壊
上記に示したものは、3つの異なるの労働者調査において、テレワークのデメリット・課題として上位にあげられるものです。※1,2,3
出典:【テレワーク導入後の働き方に関する意識調査】 スタッフサービスグループ2020年
出典:緊急調査パンデミック(新型コロナウイルス対策)と働き方 株式会社NTTデータ経営研究所 2020年
テレワークのデメリットがそのままテレワークうつの原因に繋がる理由をご覧ください。
運動不足
テレワークは、通勤・オフィス内の移動がなくなります。
たとえデスクワークであっても、報連相のために自分のデスクを離れて人に話かける・会議室に移動するなど、体を動かす機会があります。
テレワークでは、そのようなちょっとした運動でさえも減って、座っている時間が増えます。
長時間同じ姿勢で座っていることは、筋肉を使わなくなることからも、多くの不調に繋がります。
対面コミュニケーション不足
テレワークにおいては、普段オフィスで何気なくおこなっているコミュニケーション手段が文字上で行うメールやチャットに制限されます。
時間や手間がかかるだけでなく、レスポンスにも時間が必要となるため、非常に不都合な部分もあります。
さらにちょっとした悩みや雑談をする機会もなくなっていまうため、孤独感にも繋がります。
いままで当たり前に行っていたことができないことへのストレスにもなります。
生活リズムの崩壊
自宅で仕事ができると、自分のペースで仕事を行うことができます。
出社をする場合、決まった時間に起床就寝、出退勤、食事という生活リズムができます。
オンラインで朝礼や会議など、一定の時間はリズムが決まっているにしろ、多くの時間は自分でスケジューリングがしやすい環境になります。
職場環境と生活環境が混合することもあり、オンオフの切り替えができないと感じる人が多いようです。
定時の概念も曖昧となるので、効率が下がりいつまでも仕事をしてしまうなど、プライベートな時間が減ってしまう原因にも繋がります。
これらのタイムマネジメントやオンオフの切り替えができなくなると、結果として生活リズムが崩壊することに繋がります。
睡眠障害や疲労の蓄積に直結することは明白です。
【企業側】テレワークうつ対策
テレワークうつの原因が明らかとなれば、「対策」をして未然に防ぐようにしましょう。
企業側ができる対策からご紹介します。
朝礼など、ミーティングの環境を毎日設ける
報連相を絶やさないための朝礼・ミーティングはテレワークうつ対策にも最適です。
毎日決まった時間にミーティングを導入うすることで、従業員の生活リズムを整えるきっかけになります。
さらに、コミュニケーションの場、業務成果を評価する役割にもなります。
具体的には、ICTツールの環境整備がメインとなります。
気軽なコミュニケーションの場や環境を整える
コミュニケーション不足予防のために、コミュニケーションの場を設けましょう。
普段の何気ない悩みやストレスを一人で抱えなくて済むよう、業務報告のミーティングとは別の機会として、ビデオ通話を活用する企業も出てきています。
オンライン朝礼やミーティングで使用するICTツールを活用することで、余分な費用は抑えることが可能です。
個人の事情もあるため、
●強制参加ではなく希望者の参加
●入退室自由
●解散時間を設定する
といった配慮を行いましょう。
ハイブリッドワークの導入する
ハイブリッドワークとは、テレワーク、オフィスワーク、コワーキングワークなど、仕事環境を選択できる新しい働き方です。
テレワークのみ、オフィスワークのみといった限定した働き方ではなく、バランスを変えることでそれぞれの働き方に絞った際のデメリットをカバーできることもあります。
ハイブリッドワークにもデメリットはありますので、従業員や企業にとってどのような働き方がよいのか検討することが重要になります。
ハイブリッドワークについては、ハイブリッドワークとは?働き方改革の課題への向き合い方で解説しています。
是非ご覧ください。
【個人側】テレワークうつ対策
テレワークうつ対策は、一人ひとりが対策をすることも非常に重要になります。
個人ができる対策を見てみましょう。
生活リズムを一定にする
生活リズムの崩壊は、多くの人が感じており、テレワークうつの原因にも繋がります。
通勤時間がなくなると起床時間が遅くなりやすくなります。テレワーク中でも週数回は出社するなど、不規則な勤務形態になる可能性もあります。
起床時間が日によってことなると生活リズムが崩れ、睡眠不足、環境変化のストレスにも繋がります。
リズムを整えるために意識したいのは、「起床・就寝時間」「始業時間・退勤時間」「食事時間」です。
起きる時間を保つ、食事(特に朝食)の欠食など、1日の生活サイクルにも繋がる朝の生活リズムは一定に保つ努力をしましょう。
業務時間とプライベート時間を明確に分ける
業務時間を決めることは、生活リズムを整えること以外にも、ストレスや疲労を増やさないためにとても重要です。
普段と異なる環境の業務は人によっては効率を下げる原因にもなります。
さらに普段リラックスする環境である自宅が、仕事スペースになることで、緊張が続くこともあるでしょう。
慢性疲労や、睡眠障害などを防ぐためにも、オンオフの切り替え環境を整えましょう。
時間を分けること以外にも、仕事スペースを限定して設ける、香りで環境を変える、などもおすすめです。
身体を動かす時間を意識してつくる
運動不足はテレワークうつの原因です。
1日自宅で仕事をすると、どうしても活動量は低下します。
自宅での運動習慣対策として具体的な方法をいくつか紹介します。
●あえて毎日買い物に出かける(まとめ買いをしない)
●こまめに立ち、自宅内を1周する
●毎日同じタイミング(朝、終業後、食事後など)での運動習慣をつくる
●歩数計を活用して、活動量を客観的に把握する
●テレビのCM中に足踏み運動をする
他人と会話をする
テレワークになると人と会話をするきっかけが減ります。
人とのコミュニケーションには得意不得意がありますが、人との会話は自分の気持ちの整理にも繋がります。
一人で考えこむと塞ぎがちになってしまうのでテレワークうつの原因になります。
挨拶やちょっとした会話だけでもするよう心掛けましょう。
業務の報連相は自発的にこまめに行う
業務の進捗状況が不透明になります。
「あの人なにやってんだろう」「これを頼んだのに中々報告がない」といった些細なものが、大きなストレスやミスにも繋がります。
報告、連絡、相談については、日ごろのオフィスワークよりも頻繁に行うように心がけましょう。
まとめ
働き方改革や、感染症拡大防止の観点から増えつつあるテレワーク。
オフィスワークとは環境が大きくかわり、プライベートとのオンオフ切り替えも難しくなります。
適応障害としての不調があらわれやすくなり、放置するとうつ病の発症もしかねません。
企業だけでなく、テレワークを行う一人ひとりも意識を持って対策を行っていきましょう。
今回は、「テレワークうつ」に限定した対策でしたが、在宅勤務には、生活習慣病や肥満のリスクを増大させる原因も潜んでいます。
例えば、「座りすぎ習慣」や「社会的時差ぼけ」などの習慣です。
テレワークでも健康に仕事を進めるために気になる方は、別の記事で解説していますので合わせてご覧ください。
参考
※1 【テレワーク導入後の働き方に関する意識調査】 スタッフサービスグループ2020年