健康経営で取り組む分野の1つが「食」です。
「食」の好み・習慣などは従業員1人1人の個人差も大きく、健康経営で取り組むのは難しいと考えている担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、労働環境が、従業員の食・生活習慣を大きく作用し、健康状態にも影響を与えていることも事実です。
企業が「食」に対する取り組みを進める重要性について取り組み例と併せて紹介します。
●食に関する健康経営施策をおこなう企業は〇割
●健康経営と食の関係
●食生活の改善に向けた取り組みとは
食に関する健康経営施策をおこなう企業は〇割
平成29年度の健康経営度調査結果を参考に作成※1
日経リサーチでは毎年「健康経営度調査」をおこなっています。
これらは、健康経営優良法人(大規模部門)の認定や健康経営銘柄の選定などに活用する目的としています。
平成29年度の健康経営度調査では、食生活改善に向けた具体的な支援の実施状況についての調査も行われました。
回答数は、1239社です。(非上場企業含む)
食生活改善に向けた具体的な支援の実施状況について、「行っていない」「無回答」と答えた合計は、全体で27.5%という結果です。
食生活改善のための健康経営施策を何かしら行っている企業は72.5%といえます。
取り組み実施の多かった施策は、「社食などで健康づくりメニューを提供している」と回答したのは全体の50.6%、「社食等での栄養素・カロリー等の表示をおこなっている」と回答したのは全体の50.2%という結果でした。
参考
平成30年度健康経営度調査 前回の結果と今回の方針 株式会社日経リサーチ
健康経営と「食」の関係
健康リスク数別労働生産性損失の平均割合(n=2264)
アメリカでの先行研究によると、健康リスク数が増えるほど労働生産性の損失割合が増えることが明らかになっています。
ここでの「健康リスク」以下の11項目です。
①栄養バランス不良 ★
②やせ・肥満 ★
③高コレステロール ★
④運動不足
⑤高ストレス
⑥予防ケア未受診
⑦生活不満足
⑧高血圧 ★
⑨喫煙
⑩糖尿病 ★
⑪飲酒 ★
健康リスク項目11項目のなかで食事と関わりのある項目は、6項目にも及びます。
健康経営と「食」との密接な関係があり、重要度も高いと言えます。
参考
Boles, M., Pelletier, B., & Lynch, W. (2004). The relationship between health risks and work productivity.JOEM, 46(7), 737-745.
食生活の改善にむけた取り組みとは
食生活の改善に向けた取り組みとは具体的にはなにを行っていけばよいのか困っている企業も多いのではないでしょうか。
健康経営優良法人の「食生活の改善に向けた取り組み」の評価項目として、意識を変えることに加え、行動改善できる取り組みであるかどうかがポイントとなっています。
一部例を紹介します。
●期間限定で毎月・毎週など定期的に健康づくりメニューを提供する
●バランスの取れた朝食の提供する
●残業する従業員が安心して食べられる補食を提供する(おにぎり・軽食など)
●社員に提供している弁当や社員食堂での食事についてのカロリーや栄養素情報の表示
●企業にある自動販売機の飲料に無糖や低カロリー商品を増やす
●企業に冷蔵庫を設置し、昼食を持参する社員が安心して弁当を適温で保管しておける環境を整える
●食事管理アプリを導入し、外食の多い従業員向けに食事量を把握できる仕組みを設ける
●外部事業者の栄養指導・窓口相談の設置して個別相談できる機会を設ける
●従業員参加型の健康セミナーを実施する(ワークショップなど)
まとめ
健康経営優良法人のうち半数以上が食生活改善のための取り組みをおこなっているのが実情です。
健康リスクが増えるほど、労働生産性が下がるという研究結果もあり、従業員の健康維持は企業の発展にも効果的といえます。
従業員の食習慣が改善できる取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。