よく噛むだけでダイエットになる秘密

よく噛むだけでダイエットになる秘密

体重を減らすためには、『摂取エネルギー量<消費エネルギー量』のバランスにすることが必要です。

消費エネルギーを増やすために運動をやりたいけど、まとまった時間が取れない

とやる気に反して時間の捻出が出来ず困っていませんか。

普段の食事の『咀嚼の仕方』を変えるだけで、消費エネルギーがUPする秘密を紹介します。

【目次】

●よく噛むことで得られるダイエット効果

●咀嚼回数と肥満の関係

●よく噛むためのポイント

●まとめ

 

よく噛むことで得られるダイエット効果

よく噛む

よく噛むことはダイエットの強い味方です。

具体的にどのような効果があるのか紹介していきます。

 

咀嚼回数を増やすと消費エネルギー量が高まる

人間は食事誘発性熱産生(DIT)といって、食事をした後は安静にしていても代謝量が増大することが分かっています。

これは、食事として摂った栄養が体内に吸収分解され一部が体熱となって消費されるからです。

DITと咀嚼回数に注目した研究も進んでおり、ゆっくりよく噛んで食べるとが高まることが確認されています。

ある研究で食後3時間のエネルギー消費量を比較したところ、

急いで食べた場合は平均消費量が15kcalで、ゆっくり食べた場合は30kcalと2倍も消費量が高い結果がでたのです。※1

急いで食べた後、ガムを噛むと消費量が上がることもわかっていますが、咀嚼回数が少ない人が15分ガムを噛んでもゆっくり食べた人のほどの消費量には至らない結果となりました。

別の研究においては、固形物ではない飲み物であっても、ゆっくり味わいよく噛んで摂取することでDITが増加させられることが示されています。※2

よく噛み味わって食事をするだけで消費エネルギーを高めることができるのです。

 

余分な食事摂取量を抑えることができる

「食事が終わった直後はまだまだ食べられそうと思っていたけど、少し時間が経ったらお腹がいっぱいで苦しくなってきた」

こんな経験はありませんか。

これは、早食いによる過食が原因の可能性があります。

 

標準体重~肥満の人を対象にしたピザの摂食に関するアメリカの研究によると、咀嚼回数をいつもの1.5倍に増やすとピザの摂取量が9.5%(約70kcal)、2倍にすると14.8%(約112kcal)減るという結果です。※3

「お腹がいっぱい」と感じることは、脳にある満腹中枢が関係しています。

食事を摂ると消化管からホルモンが分泌され、神経を伝って脳の満腹中枢を刺激します。

この刺激が脳に到達するまで、15~20分はかかると言われています。

そのため噛む量が少なく早食いの人は、5分10分で食べ終わってもまだ満腹を感じることができず、ついついお替りに繋がりやすいのです。

しっかりよく噛んで食べることで食事時間を伸ばし、満腹中枢を刺激することが重要です。

 

噛む回数と肥満の関係

ご飯をお替りする

よく噛むと消費エネルギーが高まる、よく噛むと余分な食事摂取量を抑えることができることが明らかなのは、分かっていただけたかと思います。

一番関心があるのは、咀嚼回数が少なく早食いである人と「肥満」は関係性があるのかどうか、ではないでしょうか。

愛知県に住む35~69歳を対象とした疫学調査で食べる速さ(5段階の自己評価)とBMI(肥満度)の関連を調べた結果、早食いの人は現在のBMIが高い傾向にあることがわかりました。

さらに、20歳時点からのBMIも増加していることが分かっています。※4

 

よく噛むためのポイント

早食い

実際に「よく噛む」ためのポイントや工夫の仕方について紹介します。

1口30回以上を噛む

「よく噛む」の目安は30回です。

日本咀嚼学会では、健康を維持するためによく噛むことを推奨していますが、30回はあくまで目安だとしています。※5

ダイエットの観点からいうと、咀嚼回数が多い方がよいということから、30回を1つの目安にするのがよいでしょう。

噛む回数が増えると自然と食事にかかる時間も伸ばすことに繋がります。

 

柔らかい食べ物ばかり選ばない

近年は、ドリンクタイプのスムージーやプロテイン飲料、パンなどの柔らかい食材が普及してきています。

食材の特徴により、よく噛んで食べたくても、咀嚼が必要でない食材が多いことも事実です。

よく噛まないと呑み込めないような食物繊維が豊富な野菜や、海藻などを選ぶようにすることで、自然と咀嚼回数を上げることができます。

 

食材は大きめに切る

みじん切りや薄切りなど、火を通しやすくなるため、加熱時間は時短になります。

食べやすいメリットもありますが、咀嚼回数が減る原因に繋がります。

 

食品も細かく切らず、大きめに切るようにすると自然と咀嚼回数を増やすことができておすすめです。

 

まとめ

逆に咀嚼回数の少ない早食いの人は肥満傾向にあり、よく噛みゆっくり食べることでダイエットに嬉しい効果がたくさんあることが分かっています。

食後の消費エネルギー量が高まったり、満腹中枢に刺激が到達するので余分な食事摂取を抑えることに繋がります。

今日から、食事をしながらダイエットに挑戦してみませんか。

 

※1 HAMADA Yuka, HAYASHI Naoyuki Effect of postprandial chewing gum on diet-induced thermogenesis The Journal of Physiological Science, 65 (1): S240 (2015)

※2 Yuka Hamada,Naoyuki Hayashi Chewing increases postprandial diet-induced thermogenesis Scientific Reports Scientific Reports volume 11, Article number: 23714 (2021) 

※3 Increasing the Number of Chews before Swallowing Reduces Meal Size in Normal-Weight, Overweight, and Obese Adults(米国栄養・食事療法学会 2013年11月11日)

※4 Otsuka R et al.Eating fast leads to obesity: findings based on self-administered questionnaires among middle-aged Japanese men and women.J Epidemiol. 2006; 16(3): 117-124.

※5 日本咀嚼学会からの発信 日本咀嚼学会

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